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自利利他とは

日本八宗の祖師と称されているのが、インドの仏教僧龍樹です。
サンスクリット語でナーガルジュナと言います。
2世紀に生まれた僧侶で、釈迦如来の再来と言われた人です。
真言宗の八祖、浄土真宗のの七高僧の一人です。
「色即是空、空即是色」という仏教の空の理論を唱えたのが龍樹であり、龍樹菩薩として尊称されています。
仏教では、釈迦につぐ偉大な聖者であり、仏教中興の祖です。
龍樹は究極の悟りとして、「自利利他」を説いた人です。
自利とは、自らの悟りのために精進努力することです。
利他とは、他者の救済のために尽くすことです。
この自利利他が判れば仏教は卒業です。
比叡山を開いた伝教大師最澄は、自利、利他のことを「自利とは利他をいう」と豁然として説かれました。
つまり、利他を実践すれば、その実践がそのまま自分の幸せなのだ、と云われたのです。
私なりに解釈を加えると、惜しみなく他者に分け与えること、一切の見返りを求めず、自分が出来ることを他者に対して自然に行うということでしょう。
或いは、他者の逆境、困難を見過ごしにしない心ということです。
咄嗟に川に飛び込んで、溺れている人を助ける、辛い苦しい思いで倒れている人を介抱する、という心に繋がるものです。
極端に言うと、虎の穴に入って、虎に食べられそうになっている人を、わが身も顧みず、助けに入るという菩薩行の心のことです。
己を捨てて、他者のために生きる、尽くすという心が利他です。
私はこれを大我の心と呼んでいます。
こういう利他の実践が、そのまま自利になるのだ、自分のためになるのだよ、自分の幸せになるのだよ、と龍樹も、最澄も言っておられるのです。
自利とは、小我のことです。
利他とは大我のことです。
小我を捨てて、大我に生きることが、実は仏教の真髄であり、古流神道の精髄なのです。
私は仏教の僧侶ではなく、古流神道の修行者です。
しかし、仏陀や龍樹が説かれた仏教は心の教え、心の哲学として最高峰のものです。
日本の仏教は、それとは違う方向へと進んできたようです。
仏教哲学の精髄は、相即の論理です。
般若心経は、色即是空を説きますが、それは色を滅して空にいたるのではなく、色そのままに空であるという真理を表現しています。
同様に、自利、利他の意は、前述のとおり、「自利とは利他という」が正しい解釈です。
世の為、人の為、社会のために、精進努力して、そうした生活に徹することがこの言葉の心です。
それがそのまま自利なのですよ、と最澄は言っているのです。
それが本当の自分の喜びであり、幸せなのですよ、と教えてくれているのです。
こういう心構えと心境で、本物の人物になって、人の為、世の為に奉仕することができれば、人は心からの生き甲斐を感じ、豊かな人生とすることができるのです。
「情けは人の為ならず」という言葉のとおり、人にやさしく、親切に、思いやりの心をもって接すると、それがそのまま我が身に還ってくるということです。
親切な行為は、宇宙が一番喜ぶ行為であり、それを実践していくと、人生も、運命も、健康面も大きく好転していきます。
それが自利利他ということです。
合掌
by toukokira-kira | 2018-10-09 10:31